成人年齢が20歳から18歳に引き下げられる民法改正に伴う相続税、贈与税への影響

令和4年4月1日より、民法改正によって成人年齢が20歳から18歳に引き下げられました。
これに伴い、適用日等の確認が必要かと思います。

①贈与税関係
相続時精算課税、住宅取得等資金の非課税控除、贈与税の特例税率の適用は4月1日以後はその年の1月1日において18歳以上となります。

事業承継税制の適用は、4月1日以後は贈与の日において、18歳以上50歳未満です。

結婚、子育て資金の非課税措置の適用は4月1日以後は結婚、子育て資金管理契約締結の日において18歳以上50歳未満です。

②相続税関係
未成年者控除の適用は、4月1日以後は相続等の日において18歳未満となります。

適用日の確認、そして贈与等を確認した方が良さそうです。

インボイス制度での仕入控除の注意点

免税事業者等からの課税仕入等については、仕入税額控除の適用が期間に応じて一定割合の控除ができなくなります。
法人税では、この一定割合が控除できない額についている「対価の額」に含めて、課税所得の計算をすることとされている為、仕入時に「対価の額」に含める処理が求められます。
一定割合の控除の制限とは、
R5.10.1~R8.9.30は仕入税額相当額の80%
R8.10.1~R11.9.30は仕入税額相当額の50%
R11.10.1以降はなし
6年経過すると免税事業者の仕入相当額全額に仕入税額控除を行えなくなります。
例として経過措置80%控除の場合、仕入額100,000円、消費税(10%)10,000円の商品税込110,000円の仕入、税抜き処理の場合

仕入 100,000    現金 110,000
仮払消費税 10,000
仕入 2,000     仮払消費税 2,000

となります。
決算時に対応する方法として仕入時は現行と同様の処理を行いますが、この場合免税事業者から経費を支払った場合と棚卸資産を仕入れた場合に分けて考えなければなりません。

①経費を支払った場合
消耗品費 100,000   現金 110,000
仮払消費税 10,000
雑損失  2,000     仮払消費税 2,000

②棚卸資産を仕入れた場合
期末在庫の有無で申告調整の必要性が変わります。
無しの場合、調整は必要ありませんが、棚卸が有りの場合は調整が必要です。

仕入1本100,000、個数20個、税抜2,000,000の場合
仕入 2,000,000    現金 2,200,000
仮払消費税 200,000
雑損失20% 40,000   仮払消費税 40,000

棚卸が無い場合は上記のような仕訳になりますが、棚卸5本500,000の商品がある場合
商品 500,000  仕入 500,000
この消費税10% 50,000×20%=10,000が仕入原価にならないため、対価の額に入れられないので10,000は別表4加算、別表5(1)増加となり、調整する必要が出てきます。

所得税の青色申告特別控除の65万円

控除を受けるための要件は、次に掲げる要件になります。
1.不動産所得又は、事業所得を生ずべき事業を営んでいること。
2.これら所得に係る取引を正規の簿記の原則により記帳していること。
3.(2)の記帳に基づいて作成した貸借対照表及び損益計算書を確定申告書に添付し、この控除の適用を受ける金額を記載して確定申告期限内に提出すること。
4.その年分の事業に係る仕訳帳及び総勘定元帳について電子帳簿保存を行っていること。
5.その年分の所得税の確定申告書、貸借対照表及び損益計算書の提出を確定申告の提出期限までにe-taxを使用して行うこと。
さて、(4)の「電子帳簿保存を行っていること」について、65万円の青色申告特別控除の控除要件として、「優良な電子帳簿」の要件を満たしている場合に限るとされました。
また、優良な電子帳簿について一定の国税関係帳簿(青色申告者、消費税事業者の備え付ける帳簿)の保存を行う者で事前に届出を提出した者については、過少申告加算税が5%軽減されることになりました。

インボイス制度での手書き領収書及び適格簡易請求書

令和5年10月1日より消費税においてインボイス制度が導入されますが、導入後においても一定の事項を記載していれば、手書きの領収書であっても適格請求書として交付することができます。また、一定の事業の場合には記載事項が簡易な「適格簡易請求書」の交付も認められています。

手書き記載事項
①適格請求書発行事業者の氏名、名称、登録番号
②課税資産の譲渡等を行った年月日
③その内容
④税抜、税込価額を税率ごとに区分して合計した金額及び適用税率
⑤税率ごとに区分した消費税額等
⑥書類の交付を受ける事業者の氏名、または名称

「適格簡易請求書」とは
不特定多数の者、小売等、飲食等、タクシー等に課税資産の譲渡を行う場合は「適格簡易請求書」を交付することができます。
交付を受ける氏名、または名称の記入は不要です。税率ごとに区分した消費税額等または、適用税率いずれか一方の記載で良いことになっています。

不動産登記の義務化

「所有者不明土地」とは所有者の把握が難しい土地、すなわち、不動産登記簿等の所有者台帳により、所有者が直ちに判明しない又は、判明しても直ちに連絡がつかない土地のことをいいます。
所有者不明土地の多くは相続時に登記申請がなされないことに起因して発生しており、特に近年の都市部への人口移動や高齢化により放置され、複次的に相続が発生することにより、土地の共有者が増加していったことが多数の所有者不明土地が生ずるに至った原因とされています。
「民法等の一部を改正する法律」及び「相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する法律」が公布されています。相続登記の義務化についてみてみると、令和6年4月1日の相続登記より義務化され、不動産を取得した相続人はその取得を知った日から3年以内に相続登記の申請をする義務を負い、正当な理由なく申請を怠った場合には10万円以下の過料に処せられることになっています。

補助金のインボイス枠について

「小規模事業者持続化補助金」のうち令和3年度補正予算で拡充したインボイス枠の概要が中小企業庁のホームページに公表されました。
小規模事業者持続化補助金のインボイス枠は、令和3年9月30日から令和5年9月30日の属する課税期間で一度でも消費税の免税事業者であった、または消費税の免税事業者であることの見込まれる事業者で、消費税の課税事業者のみ発行可能となる適格請求書(インボイス)の発行事業者登録を行い、販路開拓の取組みを行う小規模事業者であることが申請要件とされています。
消費税の免税事業者からインボイス発行事業者に転換する場合の環境変化への対応を支援する上乗せ枠であるため、補助上限額が通常の50万円から100万円に引上げられています。補助率については3分の2で変更はありません。
また、「IT導入補助金」についても令和3年度補正予算でインボイス制度導入への対応を見据えつつ、企業間取引のデジタル化を強力に推進することを目的に、➀会計ソフト、受発注ソフト、決済ソフト、ECソフトに補助対象を特化して補助率を引き上げる、➁クラウド利用料を最大2年分まとめて補助する、➂PC・タブレット、レジ・券売機等の購入を補助対象に追加する拡充が行われています。
個々の事案により適用要件は異なりますので、個別のご確認をよろしくお願いいたします。

所得税等の確定申告期限と振替納税日について

 令和3年度の所得税等の確定申告の申告期限について、令和4年2月3日に国税庁より報道発表資料が公表されました。
令和3年度については、一律による確定申告の申告期限の延長は行われませんが、オミクロン株による感染の急速な拡大に伴い、確定申告期間(申告所得税:令和4年2月16日~令和4年3月15日)にかけて、感染者や自宅待機者のほか、通常の業務体制が維持できないこと等により、申告が困難となる納税者が増加することが想定されており、こうした状況を踏まえ、令和3年分の確定申告について、新型コロナウイルス感染症の影響により申告等が困難な方については、令和4年4月15日までの間、簡易な方法による申告・納付期限の延長を申請できるようになっております。
簡易な方法とは、申告書を書面で提出する場合申告書の右上の余白に「新型コロナウイルスによる申告・納付期限延長申請」と記載する方法です。
確定申告書等作成コーナーを利用してe-taxで提出する場合は、「送信準備」画面の「特記事項」欄に、「新型コロナウイルスによる申告・納付期限延長申請」と入力します。
また、各種会計ソフトを利用してe-taxで提出する場合は、所得税の申告書等送信票(兼送付書)の特記事項欄に、「新型コロナウイルスによる申告・納付期限延長申請」と入力することとなります。
納付期限は、所得税及び復興特別所得税は令和4年3月15日、消費税及び地方消費税(個人事業者)は令和4年3月31日、贈与税は令和4年3月15日となっており、振替納税を利用している場合の口座振替日は、所得税及び復興特別所得税は令和4年4月21日、消費税及び地方消費税(個人事業者)は令和4年4月26日となっております。
簡易な方法による申告期限の延長を利用した場合の納付期限は、申告書と提出した日となりますのでご注意ください。
また、簡易な方法による申告期限の延長を利用した場合の振替納税の口座振替日は別途国税庁からお知らせが公表され次第、お知らせいたします。

中小企業における所得拡大促進税制の改正

中小企業における所得拡大促進税制について、税額控除率の上乗せ措置の見直しが行われ、その適用期限が1年間延長される改正が行われます。
今回の改正により、税額控除額は最大で、給与等支給増加額の40%へと拡充されます。
適用要件・・・改正による変更はありません。適用年度の雇用者給与等支給額≧比較雇用者給与等支給額✖101.5%
税額控除額
➀上乗せなし・・・控除対象雇用者給与等支給増加額✖15%
➁適用年度の雇用者給与等支給額≧比較雇用者給与等支給額✖102.5%の場合・・・➀の控除率に15%加算されます。
➂適用年度の教育訓練費の額≧前年度の教育訓練費の額✖110%の場合・・・➀の控除率に10%加算されます。
上記、➀、➁、➂の全てを満たすときの最大控除率は40%になります。
控除額の上限は、適用年度の法人税額の20%が上限であり、改正による変更はありません。
今回の改正により、控除税額の上乗せに関する要件のうち、経営力向上計画の認定に係る要件はなくなりました。
また、教育訓練費に係る税額控除の上乗せ措置の適用を受ける場合、改正前は教育訓練費の明細を記載した書類の確定申告書への添付が必要でしたが、改正後は保存義務へと変更になりました。
今回の改正は、令和4年4月1日から令和6年3月31日までの間に開始する事業年度について適用されます。

電子取引のデータ保存に2年間の宥恕措置が講じられます

自民・公明の両党は、令和3年12月10日に「令和4年度税制改正大綱」を決定しました。賃上げに係る税制措置の抜本的な強化や5G導入促進税制では税額控除制度の見直し、住宅ローン控除の見直しなどが盛り込まれています。
また、電子帳簿保存関係では、電子取引の取引情報に係る電磁的記録の保存制度について、令和4年1月1日から令和5年12月31日までの間に申告所得税および法人税に係る保存義務者が行う電子取引につき、納税地等の所轄税務署長がその電子取引の取引情報に係る電磁的記録を保存要件に従って保存をすることができなかったことについて、やむを得ない事情があると認め、かつ、保存義務者が質問検査権に基づく電磁的記録の出力書面の提示または提出の求めに応じることができるようにしている場合には、その保存要件にかかわらず、その電磁的記録の保存をすることができることとする経過措置を講じることとされています。
電子取引のデータ保存について2年間の宥恕措置が講じられた形になりました。
それぞれの改正点について、詳細が判明しましたら、またお知らせします。

電子帳簿保存法の改正について

令和3年度の税制改正において、電子帳簿保存法の改正等が行われ、帳簿書類を電子的に保存する際の手続等について、抜本的な見直しがされています。改正点のうち電子取引に関する改正についてお知らせします。改正点の施行は令和4年1月1日以後となっております。
⑴タイムスタンプ要件の緩和
タイムスタンプの付与期間が、記録事項の入力期間と同様、最長約2カ月と概ね7営業日以内とされました。
⑵検索要件の緩和
➀記録項目は、取引年月日、取引金額、取引先に限定。➁日付又は金額の範囲指定により検索できること。➂二以上の任意の記録項目を組み合わせた条件により検索できること。
保存義務者が税務職員による質問検査権に基づく電磁的記録のダウンロードの求めに応じることができるようにしている場合には、検索要件のうち➁、➂の要件は不要となり、小規模な事業者(基準期間の売上高が1,000万円以下の事業者)が、ダウンロードの求めに応じることができるようにしている場合には、検索要件の全てが不要とされました。
⑶適正な保存を担保する措置の見直し
➀申告所得税及び法人税における電子取引取引情報に係る電磁的記録について、その電磁的記録の出力書面等の保存をもってその電磁的記録の保存に代えることができる措置は廃止されました。➁電子取引の取引情報に係る電磁的記録に関して、隠蔽し、又は仮装された事実があった場合には、その事実に関し生じた申告漏れ等に課される重加算税が10%加重される措置が整備されました。
改正点の施行後の令和4年1月1日以後の電子取引の保存要件は以下の通りとなります。
⑴真実性の要件は、以下の措置のいずれかを行うこと。
➀タイムスタンプが付された後、取引情報の授受を行う。➁取引情報の授受後、速やかに(又はその業務の処理に係る通常の期間を経過した後、速やかに)タイムスタンプを付すとともに、保存を行う者又は監督者に関する情報を確認できるようにしておく。➂記録事項の訂正・削除を行った場合に、これらの事実及び内容を確認できるシステム又は記録事項の訂正・削除を行うことができないシステムで取引情報の授受及び保存を行う。➃正当な理由がない訂正・削除の防止に関する事務処理規定を定め、その規定に沿った運用を行う。
⑵可視性の要件は、➀保存場所に、電子計算機(パソコン等)、プログラム、ディスプレイ、プリンタ及びこれらの操作マニュアルを備え付け、画面・書面に整然とした形式及び明瞭な状態で速やかに出力できるようにしておくこと。➁電子計算機処理システムの概要書を備え付けること。➂検索機能を確保すること。

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