使用者が、契約者として保険料を払い込んでいた場合において、その契約者としての地位(権利)や保険受取人としての地位(権利)を役員又は使用人(以下「役員等」)に支給する場合の、保険契約等に関する権利の評価の取扱いについて、令和3年6月25日に国税庁より改正が公表されたのでお知らせします。
保険契約等に関する権利の評価は、その支給時において当該契約を解除したとした場合に支払われることとなる解約返戻金の額(解約返戻金のほかに支払われることとなる前納保険料の金額、剰余金の分配等がある場合には、これらの金額との合計額。以下「支給時解約返戻金の額」)により評価することとなっています。
しかし、「低解約返戻金型保険」など解約返戻金の額が著しく低いと認められる期間(以下「低解約返戻期間」)のある保険契約等については、第三者との通常の取引において低い解約返戻金の額で名義変更等を行うことは想定されていないことから、低解約返戻期間の保険契約等については、「支給時解約返戻金の額」で評価することは適当でない考えられます。
また、法人税等基本通達において、法人の期間損益の適正化を図る観点から、法人が最高解約返戻率の高い保険契約等を締結している場合には、支払保険料の一部を資産に計上する取扱いが定められています。
そのため、今回の改正により、令和1年7月8日以降に保険加入し、令和3年7月1日以降に支給する「低解約返戻金型保険」の評価については、「支給時解約返戻金の額」が「支給時資産計上額」の70%に相当する金額未満である時は、当該支給時資産計上額により評価することとなりました。
逓増定期保険等の名義変更の際には、評価額としていずれの価額を使用するのか確認が必要となります。
また、個別の事案について、取り扱いが異なる場合がございますので、ご注意ください。