到着時免税店の導入について

 旅客の利便性の向上等の観点から、全国各地の空港等の到着エリアにおける免税店(いわゆる到着時免税店)の導入を可能とし、到着時免税店において購入した物品についても、現行の携帯品免税制度の対象に追加されることとなりました。
 
 携帯品免税制度とは、旅客がその入国の際に携帯して輸入する個人使用目的の物品については、一定の範囲内においてその物品に係る関税及び内国消費税(酒税・たばこ税を含む)を免除する制度です。

 到着時免税店の導入により、入国旅客の免税品購入の流れは、外国での外国購入品(A)、機内での機内免税品(B)、到着空港での到着時免税店免税品(C)の合計を携帯品申告(A+B+C)し入国手続きすることとなります。

 到着時免税店は平成29年4月1日より導入可能となっており、今後日本各地の国際空港にて設置が進められることとなります。

中小企業経営強化税制の創設について

中小企業の「攻めの投資」を後押しするとともに、サービス産業の生産性の向上を図るため、中小企業投資促進税制の上乗せ措置を改組し、中小企業経営強化税制を創設した上で、これまで対象外であった器具備品・建物付属設備についても対象設備に該当することとなり、一定の要件を満たせば、対象設備について即時償却又は10%の税額控除が選択適用することができるようになりました。

1.中小企業経営強化税制における一定の要件。

①青色申告書を提出する中小企業者等であること。
②平成29年4月1日から平成31年3月31日までの期間に取得すること。
③中小企業等経営強化法の認定を受けた経営力向上計画に基づく新品の取得であること。
④生産等設備を構成するものであること等。

2.対象設備。

①160万円以上の機械。
②30万円以上の測定工具又は検査工具。
③30万円以上の器具備品。
④60万円以上の建物付属設備。
⑤70万円以上のソフトウェアなど。
対象設備については、生産性向上設備(A類型)と収益力強化設備(B類型)とがあり、生産性向上設備に関しては最新モデルでなくとも対象設備に該当しますが、それぞれ工業会等や経済産業局より、証明書の取得や投資計画の確認を受けなければなりません。

各種証明書の取得や経営計画の認定、投資計画の確認などに時間を要することもありえますので、対象設備の取得の時期などについてはご注意下さい。

法人設立届出書等の手続きの簡素化について

平成29年度税制改正により、企業が活動しやすいビジネス環境整備を図る観点から、平成29年4月1日以後に提出する届出書等について、下記の手続きが簡素化されます。

1.登記事項証明書の添付省略

2.異動届出書等の提出のワンストップ化

①.登記事項証明書の添付省略について
法人の設立、解散、廃止などの届出書において添付が必要とされていた、「登記事項証明書」について平成29年4月1日以後提出分の対象届出書への添付は不要となりました。
<主な対象届出書>
法人設立届出書
収益事業開始届出書他

②.異動届出書等の提出のワンストップ化
現在、異動前及び異動後の納税地の所轄税務署長への提出が必要とされている届出書について、平成29年4月1日以後提出分の対象届出書については、異動後の納税地の所轄税務署長への提出は不要となり、提出先は異動前の納税地の所轄税務署長へワンストップ化されます。
<主な対象届出書>
所得税・消費税の納税地の変更に関する届出書
所得税・消費税の納税地の移動に関する届出書
給与支払事務所等の開設・移転・廃止届出書
異動届出書
消費税異動届出書他

ワンストップ化については、提出先が異動後ではなく、異動前の納税地の所轄税務署長であるので、提出先にご注意ください。

 

配偶者控除・配偶者特別控除の見直しについて

平成30年分以後の所得税について、配偶者控除及び配偶者特別控除について見直しが行われます。

配偶者控除の見直し

現行の配偶者控除では、納税者本人に所得制限は設けられておらず、配偶者の合計所得金額が38万円以下(給与収入ベースで103万円以下)の場合、配偶者控除として38万円の所得控除の適用となっておりますが、見直しにより、納税者本人の段階的な所得制限が設けられることとなりました。

納税者本人の合計所得金額と控除額

①合計所得金額が900万円以下の場合、控除額は38万円(老人配偶者の場合48万円)

②合計所得金額が950万円以下の場合、控除額は26万円(老人配偶者の場合32万円)

③合計所得金額が1,000万円以下の場合、控除額が13万円(老人配偶者の場合16万円)

④合計所得金額が1,000万円超の場合、適用はありません。

配偶者特別控除の見直し

現行の配偶者特別控除では、適用対象となる配偶者の合計所得金額は、38万円超(給与収入ベース103万円超)から76万円未満(同141万円未満)でしたが、見直しにより、38万円超(同103万円超)から123万円(同201万円未満)に引き上げられることとなりました。納税者本人の合計所得金額が1,000万円を超えると配偶者特別控除の適用を受けることができない点は現行のままです。

また、現行の制度では、配偶者の合計所得金額が38万円超(給与収入ベース103万円超)、40万円未満(同105万円未満)の場合、配偶者特別控除の控除額は38万円となり、配偶者控除の控除額と同額でしたが、今回の見直しにより、納税者本人の合計所得金額が、900万円以下の場合、配偶者の合計所得金額が38万円超(同103万円超)、85万円以下(同150万円以下)であれば、配偶者特別控除での控除額が38万円となり、配偶者控除と同額の控除を受けることができる配偶者特別控除の枠が引き上げられることとなりました。

この見直しは、平成29年分よりの適用ではなく、平成30年分以後からの適用である為、平成29年分については、現行基準での、配偶者控除・配偶者特別控除の適用関係となりますので、ご注意ください。

国税の納付手続の変更・追加

現在、国税の納付方法は

1.現金に納付書を添えて納付する方法
2.指定した金融機関の預貯金口座から振替納税する方法
3.ダイレクト納付またはインターネットバンキング等を利用して電子納税する方法
4.インターネットを利用したクレジットカード納付で納付手続する方法
5.延納・物納(相続税・贈与税)

の5つの方法があります。特に2及び4については平成29年1月から変更・追加となっています。

振替納税の領収証書送付取りやめ

特に、個人事業者に限っては、申告所得税及び復興特別所得税、消費税及び地方消費税の納付を2.の振替納税を選択している納税者がいます。今までは、口座振替の都度、金融機関から領収証書が送付されていましたが、平成28年度税制改正を経て、平成29年1月以降送付しないこととされました。平成29年1月以降、領収証書の送付に代わり、

①e-Taxにより申告所得税及び復興特別所得税等を申告している人は、e-Taxホームページ等の「振替納税結果」メニューから振替納税結果を確認

②書面により申告所得税及び復興特別所得税等を申告している人は、税務署にて口座振替がなされた旨の証明を行う

クレジットカードによる納付

クレジットカード納付は自宅に居ながら国税の納付が可能となります。そのため、金融機関の窓口まで出向かなくてもよく、窓口の受付時間内しか納付できないなどの場所・時間的な制約がなくなるほか、事前の手続きが不要となっています。

(注)クレジットカード納付は、納税額に応じた決済手数料が発生するので注意が必要です。

平成28年分の所得税等の主な改正点について

1.平成28年分の確定申告より適用される所得税等の主な改正点は、下記の通りです。
  ①.マイナンバー制度の導入
   マイナンバー制度の導入に伴い、確定申告書に個人マイナンバーの記載、申告書の提出時に本人確認書類の提示又は写しの添付が必要となりました。
  ②.消費税に関する改正点
  簡易課税制度におけるみなし仕入れ率の見直し
  金融業及び保険業が、第四種事業から第五種事業へ(みなし仕入れ率60%→50%)
  不動産業が、第五種事業から新設された第六種事業へ(みなし仕入れ率50%→40%)

このほかにも申告書様式の変更や国外居住親族関係の書類の添付など、様々な改正がございますので、ご注意ください。

2.セルフメディケーション税制の創設
  平成29年1月1日より、特定の医薬品購入に対する新しい税制「セルフメディケーション税制(医療費控除の特例)」が創設されました。
  セルフメディケーション税制とは、健康の保持増進及び疾病の予防として一定の取組を行っている人が、一部の市販薬を購入した際に、所得控除が受けられるようにしたものです。
 
  ①.一定の取組とは、勤務先での定期健康診断なども含まれる以下のいずれかです。
  Ⅰ.特定健康診査(いわゆるメタボ健診)
  Ⅱ.予防接種
  Ⅲ.定期健康診断(事業主健診)
  Ⅳ.健康診査
  Ⅴ.がん健診
  ②.対象となる医薬品
  セルフメディケーション税制の対象となる一部の市販薬とは、厚生労働省のWebサイトに掲載されている医薬品であり、対象製品の多くには共通識別マークが入っています。
  ③.所得控除額
  セルフメディケーション税制の適用により、所得控除の対象となる金額は、対象製品を年間1万2000円を超えて購入した際の、その1万2000円を超えた部分の金額(上限金額:8万8000円)が、医療費控除の金額となります。

従来の医療費控除とセルフメディケーション税制の併用はできません。
セルフメディケーション税制は、平成29年分の確定申告より適用開始となります。
また適用の際に、購入時の領収証の添付が必要となりますので、平成29年1月1日以降の領収証の保存もれなどにご注意ください。
  

給与所得者の確定申告の要否について

 所得税は毎年1月1日から12月31日までの1年間に生じた所得について課税されます。
その所得に対する申告は原則として、その年の翌年2月16日から3月15日までの間に納税者が自ら計算し、申告、納税することとなっております。
平成28年分の所得税の確定申告期間は、平成29年2月16日から平成29年3月15日までとなります。
 しかし、多くの給与所得者の方は年末調整により給与所得に対する所得税等の精算は行われている為、確定申告は不要となりますが、確定申告が必要な方や確定申告により税金が還付される方もいらっしゃいます。
具体的には下記の様な方々です。
 
1、確定申告が必要な方の具体例
  ①平成28年の給与の収入金額が2,000万円を超える方。
  ②給与を1ヶ所から受けていて、平成28年中の給与所得及び退職所得以外の各種所得の合計額が20万円を超える方。
  ③給与を2ヶ所以上から受けていて、平成28年において年末調整されなかった給与の収入金額と、平成28年の給与所得及び退職所得以外の各種所得の金額との合計額が、20万円を超える方など。

2、確定申告により税金が還付されるかもしれない方の具体例
  ①入院や出産などにより、平成28年中に支払った医療費の合計額が10万円(※1)を超える方。
  ②平成28年中に、ふるさと納税などの寄付金の支出があり、寄付金控除の適用を受けることができる方。
  ③平成28年中に、返済期間が10年以上の住宅ローンにより居住用の家屋等を購入された方。
  ④平成28年の中途に退職し、その後就職していないため年末調整を受けることができていない方など。
  
 (※1)総所得金額の5%と10万円のいずれか低い方の金額になります。

 また、1、2に該当しない方でも、上場株式に係る譲渡損失と上場株式の配当所得との損益通算や繰越控除の特例の適用を受けようとする場合などには、確定申告が必要となり、個々の事案により、その取扱は異なりますので、ご注意して下さい。

平成28年分年末調整等の主な変更点について

平成28年分の年末調整等の主な変更点は以下の通りになっております。

1.通勤手当の非課税限度額の引上げ
平成28年1月1日以後に支払われるべき通勤手当の非課税限度額が10万円から、15万円へ引上げられました。
  改正前後の非課税限度額は以下の通りです。
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2.給与所得控除額の引下げ
  給与所得控除額の上限が引下げられ、平成28年の上限は、給与収入が1,200万円以上の場合給与所得控除額は、230万円となっております。

3.各種源泉徴収票等の様式の変更
  マイナンバー制度の適用により、給与所得の源泉徴収票、報酬・料金・契約金及び賞金の支払調書、各市町村へ提出する給与支払報告書(総括表)にマイナンバーを記入する欄が設けられておりますので、使用する際にはご注意して下さい。

12月の税務案内

平成28年12月の税務についてご案内します。

1.10月決算法人の確定申告<法人税・消費税・地方消費税・法人事業税・法人住民税>
  申告期限…平成29年1月4日
2. 4月決算法人の中間申告<法人税・消費税・地方消費税・法人事業税・法人住民税>
  申告期限…平成29年1月4日
3.消費税の年税額が400万超の1月、4月、7月決算法人の3月ごとの中間申告<消費税・地方消費税>
  申告期限…平成29年1月4日

厚生年金の保険料率等の変更について

平成28年9月分(10月納付分)より、厚生年金保険料の保険料率が変更され、厚生年金保険料の金額が変更されております。

また、平成28年10月分(11月納付分)より、厚生年金の第1等級の金額が改定され、現在の第1等級(標準報酬月額98,000円)は第2等級となり、新第1等級として、標準報酬月額88,000円の区分が設定されました。

適用する、保険料率や標準報酬月額の等級にご注意下さい。

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