令和2年分の申告所得税、贈与税及び個人事業者の消費税の申告期限については、全国一律で令和3年4月15日まで延長する措置が取られています。
今回の延長措置により、納付書により納付する場合の納付の期限についても、令和3年4月15日まで延長されております。
なお、申告所得税、個人事業者の消費税の、納付を振替納税でされている場合の口座からの振替日は、
申告所得税が、令和3年5月31日(月)。
個人事業者の消費税が、令和3年5月24日(月)となっております。
申告所得税の口座振替日の変更により、口座振替日が延納期限と同一日の令和3年5月31日となったため、確定申告書に延納届出額を記載した場合であっても、確定申告に基づき納付する税額の全額が一括で口座より振替になりますので、ご注意ください。
青色申告特別控除について
令和2年度の所得税の確定申告より、青色申告特別控除の控除額について改正が行われておりますのでお知らせします。
今回の改正では、取引を正規の簿記の原則に従って記録している者に係る青色申告特別控除の控除額を改正前の65万円から55万円に引き下げる改正が行われています。
また、取引を正規の簿記の原則に従って記録している者であって、次のいずれかの要件を満たすものに係る青色申告特別控除の控除額は65万円とすることとなりました。
①その年分の所得税の確定申告書、貸借対照表及び損益計算書等の提出を、その提出期限までにe-Taxにより行うこと。
②電子帳簿保存法に対応する会計ソフトを用いて記帳し、かつ、電子帳簿保存の承認申請書を税務署に提出していること。
今回の改正は、取引を正規の簿記の原則に従って記録している者に係る青色申告特別控除の控除額に関する改正であるため、簡易方式又は現金主義により取引の記録を行っている者に係る青色申告特別控除の控除額10万円については、改正はありません。
令和2年分の所得税の確定申告より、青色申告特別控除の控除額は、次の区分によりそれぞれの金額となりますので、ご注意ください。
⑴55万円・・・正規の簿記の原則に従って記録している者。
⑵65万円・・・正規の簿記の原則に従って記録している者であって、e-Taxの利用者又は、電子帳簿保存者。
⑶10万円・・・簡易方式又は現金主義で行っている者。
令和3年度税制改正の動向について
自民党は、令和2年12月10日に令和3年度税制改正大綱を閣議決定しました。
令和3年度の税制改正大綱では、個人所得課税において、
①住宅ローン控除の控除期間13年間の措置の延長や床面積要件、所得要件の見直し、
②従業員の退職所得課税の適正化等
資産課税において、
①教育資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置の見直し
②結婚・子育て資金の一括贈与の非課税措置の見直し等
法人課税において、
①給与等の引上げ及び設備投資を行った場合の税額控除制度の見直し
②中小企業における所得拡大促進税制の見直し及び延長措置
③中小企業者等に対する軽減税率の延長等
また、納税環境整備の一環として、納税者等の押印が必要とされていた税務関係書類について、一部の書類を除き、押印が不要とされる措置が大綱に盛り込まれています。
これらの事案は税制改正の大綱に記載されている段階であるため、まだ確定ではなく、今後国会に提出される予定の法案等において、具体的な内容が把握されるものであります。
税制改正として、内容が確定され、適用時期が確定された際には、改めてお知らせ致します。
ひとり親控除及び寡婦(寡夫)控除に関する改正
令和2年分の所得税より、未婚のひとり親に対する税制上の措置として、ひとり親控除が創設されました。
また、寡婦(寡夫)控除についても、改正がされており令和2年分の年末調整より適用されますので、ひとり親控除と改正後の寡婦控除についてお知らせします。
1、ひとり親控除
所得者がひとり親(現に婚姻していない人又は配偶者の生死の明らかでない一定の人のうち、次の要件を全て満たす方をいいます。以下同じ。)である場合には、ひとり親控除としてその所得者の、その年分の総所得金額等から35万円を控除します。
⑴所得者と生計を一にする子を有すること。
⑵合計所得金額が500万円以下であること。
⑶所得者と事実上婚姻関係と同様の事情にあると認められる人がいないこと。
2、寡婦控除
所得者本人が次の⑴、⑵のいずれかに該当(ひとり親に該当する場合を除きます。)する場合には、寡婦控除としてその所得者の、その年分の総所得金額等から27万円を控除します。
⑴夫と離婚した後婚姻していない人で、次の①、②及び③の全てに該当する人
①扶養親族を有すること。
②合計所得金額が500万円以下であること。
③所得者と事実上婚姻関係と同様の事情があると認められる人がいないこと。
⑵夫と死別した後婚姻をしていない人又は生死の明らかでない人で次の①及び②のいずれにも該当する人
①合計所得金額が500万円以下であること。
②所得者と事実上婚姻関係と同様の事情があると認められる人がいないこと。
今回の改正において、改正前の特別の寡婦に該当する場合の寡婦控除は廃止されました。
個人住民税についても同様の改正が行われております。(個人住民税の控除額はひとり親控除30万円、寡婦控除は26万円。)
GoToトラベル利用時の消費税の課税関係について
令和2年10月1日より、東京都が発着の旅行も改めて対象とされ、地域共通クーポンの付与も開始された「GoToトラベル」利用時の消費税の課税関係についてお知らせします。
「GoToトラベル」は、宿泊や日帰りの国内旅行を対象に、旅行代金の1/2相当額(1人1泊当り2万円が上限)が国から旅行者に支援されるもので、連泊や利用回数に制限はなく、会社の出張など、ビジネスで宿泊等する場合であっても給付の対象となります。
支援額のうち70%(旅行代金の35%)相当は旅行代金に充当され、支援額のうち30%(旅行代金の15%)相当は、旅行先の土産物店等での商品代金等の支払いに利用できる地域共通クーポンとして旅行者に付与されます。
旅行代金の充当については、旅行者は国から直接給付金を受け取ることはなく、旅行業者が旅行者に代わって国から給付金を受け取ることとなり、旅行者の現金支出が少なくなることから、旅行代金の値引きのような処理が考えられますが、旅行代金の一部を国が補助している仕組みであって、旅行代金そのものが値引されるわけではありませんので、旅行代金の全額が消費税の課税対象となります。
会社の出張でGoToトラベルを利用した場合、旅行代金充当分を含めて精算する場合は、旅行代金の全額を旅費交通費等の科目での処理となり、旅行代金充当分を含めない実際の支払額で精算する場合には、充当前の旅行代金の全額が旅費交通費等になり、旅行代金充当額は不課税の雑収入として計上することとなります。
地域共通クーポンについても、基本的な考え方は旅行代金の充当と同様に考え、購入商品の対価の額は変わらず、その購入商品の対価の全額が消費税の課税対象となります。
精算についても、地域共通クーポン分を含めて精算する場合は、購入商品の対価の額の全額を交際費等の科目での処理となり、地域共通クーポン分を含めない実際の支払額で精算する場合には、地域共通クーポンの充当前の全額が交際費等となり、地域共通クーポン分は不課税の雑収入として計上することとなります。
なお、地域共通クーポンはお釣りがでない仕組みとなっているため、購入者が提示した地域共通クーポンの金額が商品の価格よりも大きかった場合、レシート等の表記によって消費税の課税関係が異なることとなります。
⑴レシート等で商品の通常販売価格を表記している場合
上記の基本的な考え方と同様の処理となります。販売会社側においては、お釣り相当額を不課税の雑収入として計上することとなります。
⑵レシート等で商品の通常販売価格とお釣り相当の金額を区分していない場合
地域共通クーポンはお釣りがでないため、レシート等で商品の販売価格を地域共通クーポンの金額と同額に変更する場合もあるようで、その場合には、地域共通クーポンの金額にて商品の売買があったことなり、地域共通クーポンの金額が課税対象となります。
令和3年度の固定資産税・都市計画税の軽減措置について
新型コロナウイルス感染症の影響により、事業収入が減少している中小企業者・小規模事業者に対して固定資産税・都市計画税の減免が行われます。
・申告方法の手順
1⃣、中小事業者等は、認定経営革新等支援機関等に①中小事業者等であること、②事業収入の減少、③特例対象家屋の居住用・事業用割合について確認を受ける。
2⃣、中小事業者等は、対象設備の所在する各地方自治体が定める申告書様式を利用して、認定経営革新等支援機関等から申告書を発行してもらい、令和3年1月以降より、令和3年1月末の申告期限までに固定資産税を納付する市町村に必要書類とともに軽減を申告する。
・対象者、軽減率
中小事業者について、令和2年2月~10月の任意の連続する3月の期間の事業収入の合計額が
前年同期比▲30%以上▲50%未満の減少の場合・・・1/2軽減
前年同期比▲50%以上の減少の場合・・・・・・・・全額免除
・認定経営革新等支援機関等に提出する必要書類
①申告書・・・事業収入割合、特例対象資産一覧、中小事業者等であることなどについての誓約など
②収入減を証する書類・・・会計帳簿や青色申告決算書の写しなど
③特例対象家屋の事業用割合を示す書類・・・青色申告決算書など
上記①の申告書については、対象設備の所在する各地方自治体が定める申告書様式である必要があります。ご所在の市町村のWEBページなどからの取得になるようです。
今回の軽減措置では、開業間もない場合などで前年同期比の事業収入が比較できない場合には、軽減措置の対象となりません。
今回の軽減措置は、事業用家屋・償却資産を対象としているものですから、土地については軽減措置の対象となりません。
市町村による申告の受付は、市役所等への来訪回数を減らすため、事業者が毎年行う償却資産の申告と同じタイミングでの軽減の申告の受け付けとなるようです。
中止等された文化芸術・スポーツイベントに係る寄付金控除について
新型コロナウイルス感染症に関する政府の自粛要請を受けて、中止等された文化芸術・スポーツイベントについて、チケット払戻しを請求しないで放棄した場合には、その放棄した金額については、「寄付」とみなして、寄付金控除(所得控除又は税額控除)が適用できるようになりました。
寄付金控除適用までの手順
1、本制度は主催者がイベントの指定を受ける必要があり、要件を満たす全てのイベントが自動的に対象となるものではありませんので、主催者などがイベントの指定を受けた旨を公表します。
2、主催者に払戻しを受けない意思を連絡し、主催者から「指定行事証明書」及び「払戻請求権放棄証明書」の2種類の証明書の交付を受ける。(払戻しを受けない旨の連絡の際にチケットの原本が必要な場合もあるそうです。)
3、2で交付を受けた「指定行事証明書」及び「払戻請求権放棄証明書」を確定申告書に添付し、寄付金控除(所得控除又は税額控除)の適用を受ける。
寄付金控除(所得控除又は税額控除)は年末調整の対象とならないため、確定申告が必要となります。
年間で合計20万円までのチケット代金分が、この制度の対象となります。
各自治体が指定したイベントについては、上記所得税の寄付金控除(所得控除又は税額控除)に加えて、最大10%分が住民税から減税されます。
既に払い戻しを受けていても、主催者に対して、その払戻分を寄付することを連絡し、その後実際に寄付を行えば、この制度の対象となります。
参加イベントが本制度の対象となっているかについては、必ず文化庁・スポーツ庁のHPあるいは主催者のオフィシャルサイトにて、必ずご確認ください。
所得金額調整控除について
令和2年分以後の所得税について、所得金額調整控除が創設されました。
所得金額調整控除には、⑴子ども・特別障害者等を有する者等の所得金額調整控除と⑵給与所得と年金所得の双方を有する者に対する所得金額調整控除があります。
⑴子ども・特別障害者等を有する者等の所得金額調整控除
その年の給与等の収入金額が850万円を超える居住者で、次に掲げる者の総所得金額を計算する場合には、給与等の収入金額(1,000万円を超える場合には、1,000万円)から850万円を控除した金額の10%に相当する金額(最高15万円)が、給与所得の金額から控除されることとなります。
①本人が特別障害者に該当する者
②年齢23歳未満の扶養親族を有する者
③特別障害者である同一生計配偶者を有する者
④特別障害者である扶養親族を有する者
⑵給与所得と年金所得の双方を有する者に対する所得金額調整控除
その年の給与所得控除後の給与等の金額及び公的年金等に係る雑所得の金額がある居住者で、給与所得控除後の給与等の金額及び公的年金等に係る雑所得の金額の合計額が10万円を超える者の総所得金額を計算する場合には、給与所得控除後の給与等の金額(10万円を超える場合には、10万円)及び公的年金等に係る雑所得の金額(10万円を超える場合には、10万円)の合計額から10万円を控除した残額(最高10万円)が給与所得の金額(上記⑴の所得金額調整控除の適用がある場合には、⑴の所得金額調整控除額を控除した後の金額)から控除されることとなります。
⑴の所得金額調整控除(子ども等)の適用を受ける場合の給与等の収入金額が850万円を超えるかどうかについては、年末調整にて、所得金額調整控除(子ども等)の適用を受ける時は、年末調整の対象となる主たる給与等の金額により判定する為、年末調整の対象とならない従たる給与等は含めないこととなりますが、確定申告において、所得金額調整控除(子ども等)の適用を受ける場合には、2ヶ所以上から給与等の支払いを受けている場合には、それら全ての給与等を合計した金額により判定することとなります。
また、所得金額調整控除の特別障害者とは、障害者控除の特別障害者と同様です。
本年分の年末調整等の業務より、所得金額調整控除の適用されますので、ご確認ください。
新型コロナウイルスに関連する賃料の減額について
新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響により、「賃貸物件のオーナーが賃料の減額を行った場合の取扱い」についてなどが国税庁より公表されています。
新型コロナウイルス感染症の影響により、テナント経営等を行う事業者が売上の急激した取引先(テナント・賃貸人)からの要望を受けて「賃料の減額」を行った場合、その賃料の減額が一定の要件を満たしている場合には、実質的に取引先との取引条件の変更と考えられ、減額分の差額については「寄付金」に該当しないと示されています。
さらに「賃料の減額」ではなく「既に生じた賃料(未払分)の減免」を行った場合であっても同様の処理であると明示されています。
また、消費税率が8%から10%に変更されたことによる、資産の貸付けの消費税率等に関する経過措置の適用を受けている場合であっても、コロナウイルス感染症の影響による家賃の減額は「正当な理由に基づくもの」として取扱われるため、消費税率等に関する経過措置が継続されます。
なお、これらの取扱いは不動産に限らず、事務用機器などの貸付けについても同様に取扱われます。
一定の要件とは、次の要件です。
①取引先等において新型コロナウイルス感染症に関連して収入が減少し、事業継続が困難となったこと、又は困難となるおそれが明らかであること。
②賃料の減額が、取引先等の復旧支援(営業継続や雇用確保など)を目的としたものであり、そのことが書面などにより確認できること。
③賃料の減額が、取引先等において被害が生じた後、相当の期間(通常の営業活動を再開するための復旧過程にある期間をいいます。)内に行われたものであること。
上記②の要件にもあるように、書面により新型コロナウイルス感染症を踏まえた支援であることを明示する必要があるため、覚書等を作成し、保存する必要があります。
新型コロナウイルス関連の助成金等の課税関係について
新型コロナウイルス感染症の影響拡大に伴い、法人・個人事業者・各個人に対し国・地方公共団体又は各事業者等により様々な給付金、助成金、支援金など(以下「助成金等」という。)が給付等されています。
助成金等の課税関係について、お知らせ致します。
【非課税となるもの】
・特別定額給付金
・子育て世帯への臨時特別給付金
・企業主導型ベビーシッター利用者支援事業の特例措置における割引券
・学生が大学等から学費を賄う為に支給された支援金
・事業者が従業員に対して支給する一定の要件を満たす見舞金等
【事業所得等に該当するもの】
・国・地方公共団体からの持続化給付金、持続化支援金
・雇用調整助成金
・感染症拡大防止の協力金
・小学校休業等対応助成金、支援金等
【一時所得に該当するもの】
・医療関係者への特別給付金(市区町村より医療施設が受取り、医療関係者に給与とは別に一時に支給するもの)
・学生が大学等から生活費を賄うために支給された支援金等
法人の処理については、事業所得等及び雑収入に計上することとなります。
個別の助成金の事実関係によって課税関係が異なる取扱いが多く、助成金等の給付を受ける際にはご注意ください。