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防衛特別法人税

令和7年の改正税制で「103万の壁」はクローズアップされましたが、それに隠れた法人課税があります。
「防衛特別法人税」根拠は、我が国の防衛力抜本的な強化等のために必要な財源を確保することです。課税期間は当分の間となっていますが、期限に定めがないので廃止されるまで継続されます。

課税の内容ですが、法人に対して4%の新しい付課税として課せられます。
中小企業に関しては、法人税から500万円を控除され、超える部分が課税標準法人税額になります。
課税事業年度は、令和8年4月1日以降に開始する課税事業年度からの適用です。

防衛増税の一環でたばこ税率の引上げなども実施されますが、防衛力の強化のための財源確保策として法人税、たばこ税、それに増税される予定の所得税は、引き続きの検討となりました。
103万の壁と所得税の防衛課税、相容れるのは困難であると考えられたのでしょう。しかし、所得税増税は継続検討されていくことになります。

7年度税制改正

7年度税制改正が3月31日に参議院本会議で可決されました。
4月1日から施行されています。

まず、話題となった所得税の基礎控除の見直しについては、基礎控除、給与所得控除、特定親族特別控除の創設が行われ、令和7年12月に行う年末調整など令和7年12月以降の源泉徴収事務に変更が乗じます。
令和7年11月までは、源泉徴収事務に変更はないとのことです。

1.基礎控除の見直し
合計所得金額に応じて基礎控除が変更されます。

                 改正後   改正前   令和9年以後
合計所得金額132万以下       95万    48万     
合計所得金額132万超336万以下    88万    58万    58万
合計所得金額336万超489万以下    68万    58万    58万
合計所得金額489万超655万以下    63万    58万    58万
合計所得金額655万超2,350万以下   58万    48万    
合計所得金額2,350万超        0

2.給与基礎控除の見直し
給与所得控除について55万円の最低保障額が65万円に引上げられました。それに伴い、令和7年以後の「年末調整等の為の給与所得控除後の給与等の金額表」が変更になりますが、源泉徴収票の税額表は令和8年以降からの変更です。

3.特定親族特別控除の創設
特定親族とは、居住者と生計を一にする年齢19歳以上23歳未満の親族で、合計所得金額が58万円超123万円以下の人をいいます。特定親族一人につき、その特定親族の合計所得金額に応じて最高63万円が控除できることになります。
例えば、大学生でアルバイトをして生計を立てている親族は、居住者が特定親族特別控除を受けるためには、合計所得金額が58万円超の額なのでアルバイトの給与総額では123万円超の額で控除の対象となります。

4.扶養親族等の所得要件
扶養親族及び同一生計配偶者の合計所得金額の要件 58万円以下
ひとり親の生計を一にする子の総所得金額等の合計額の要件 58万円以下
勤労学生の合計所得金額の要件 85万円以下

以上のような改正になります。

相互関税とは、どのような意味

アメリカのトランプ大統領が今、打ち出している25%関税ですが、日本にも車、衣料品、半導体に関税をかけるとしています。
貿易で不平等な状態になっている相手国に対して「相互関税」を設定していく方針を打ち出しました。

「相互関税」とは、2国間で相互に対等な税率の関税を設定し合うという意味ではないことを考えておかなければなりません。
トランプ大統領の外交交渉は「関税」を外交のカードとして利用しています。
アメリカに工場などを作り、アメリカへの投資をもって生産を行うと関税はかからないことを表明し、雇用の拡大、失業率の低下を目標にしているのです。

「相互関税」とは非関税障壁の撤廃、の意味に他なりません。
アメリカの製品に高い関税をかける国、規制や商い的習慣などの障壁の多い国も標的にすることになります。
日本をターゲットにしたアメリカが考える規則の中には消費税が含まれています。アメリカからすれば消費税も関税に当たるからです。
消費税は輸出企業を援助するという目的が強い税額で、リベートを渡す機能があります。日本では還付と呼んでいます。
日本の輸出企業が国内で製品を作ると部品の調達先に消費税を払います。しかし、海外への売上は消費税が課税にならないため、払いすぎた消費税は還付になり、明らかに貿易補助の役割を果たしています。

日本の商品とアメリカの商品の価格が同じで両国関税をゼロとした場合、100ドルの製品は10%の消費税かかるので、日本企業は90ドルまで下げることが可能になります。
一方、100ドルのアメリカの製品は日本国内では10%の消費税がかかるので、110ドルになってしまいます。
日本の消費税は実質的に20%の関税になるという考えです。
この非関税障壁も対象と考えられ、関税25%を課すとなっているのです。

令和7年度税制改正の大綱

令和6年12月27日、令和7年度税制改正の大綱が閣議決定されました。
物価上昇局面における税負担の調整と就業調整対策の観点から、所得税の基礎控除の控除額及び、給与所得控除の最低保障額の引上げ、並びに大学生年代の子等に係る新たな控除の創設を行うことになりました。
まず、中小事業者を対象とする法人税軽減税率の優遇特例は2年間延長され、「年収の壁」は123万円に引上げられます。

中小事業者が対象の法人税の軽減率の優遇特例は、26年度末までの2年間延長されることになりました。
法人税率は原則23.2%ですが、資本金が1億円以下の中小事業者は800万円以下の所得に対して15%の軽減税率が適用されています。大綱ではこの一律の適用を見直し、10億円超の所得がある企業は800万円以下の部分の税率を15%から17%に引上げています。

「年収の壁」は現行の103万円から123万円に引上げられます。
給与所得控除について、55万の最低保障額を65万に引上げます。
上記の改正は、令和7年以後の所得税について適用されますが、給与所得の源泉徴収税額表等の改正は、令和8年1月1日以後に適用されます。

大学生年代の19~22歳の子を扶養する親の税負担を軽減する特定扶養控除に関しては、特別控除を創設し、子の年収制限を103万から150万に引上げます。

結婚、子育ての資金を一括で贈与すると、贈与税が1千万円まで非課税となる特例については、2年間継続する方針を盛り込んでいます。

株式の評価方法の見直し案

新年、明けましておめでとうございます。
皆様にとりまして
幸せに満ちた一年になりますように
心からお祈り申し上げます。

株式の評価方法の見直し案

非上場株式の評価方法の中に、会社の規模に基づいて独自の評価ルールが設けられています。
「類似業種比準方式」「純資産価額方式」「併用方式」
と呼ばれるもので、会社の従業員数、業種、純資産価額、取引金額などによって、大会社、中会社、小会社に区分され、それぞれに応じた方式で評価されます。

会計検査院が指摘しているのは、類似業種比準方式についてです。
会社の規模が大きいほど、類似業種比準方式を採用する割合が高くなります。検査院は類似業種比準方式と純資産価額方式の乖離が大きくなっていることを問題視しています。
評価額に差が出ることは織り込み済みであるとしても「評価の公平性が必ずしも確保されていない」と批判しています。
検査院の指摘は制度見直しとイコールではありませんが、数年以内に株式評価の方法が見直される確率はかなり高いと言えるでしょう。

フリーランス法

6年11月1日に「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律」フリーランス法が施行されます。
①フリーランスと発注事業者間の取引の適正化
②フリーランスの就業環境の整備
対象の業種の指定はないため、従業員を雇用しない税理士や公認会計士も同法の保護対象となります。
まず、フリーランスとは業務委託の相手方である事業者が次の者です。
①個人であって従業員を使用しない。
②法人であって、一の代表者以外に他の役員がなく、かつ従業員を使用しない。
この「従業員の使用」とは、1週間の所定労働時間が20時間以上かつ継続して31日以上雇用されることが見込まれる労働者のことです。
事業に同居親族のみを使用している場合、従業員を使用していることには該当しません。
同居親族が役員の場合、一の代表者以外に役員がいることになるのでフリーランスではなくなります。

6年11月からフリーランスに業務委託を行う発注側が守らなければならない項目は以下になります。
①書面などによる取引条件の明示
②報酬支払日の決定、期日までの支払い
③禁止行為(受領拒否、報酬の減額、返品他)
④募集情報の的確表示
⑤育児介護等と業務の両立に対する配慮
⑥ハラスメント対策に関する体制の構築
⑦中途解約等の事前予告、理由の開示
違反した場合はフリーランスが所管省庁にその旨を申し出ると、その内容に応じて調査、指導、助言、勧告を行い、勧告に従わない場合は命令、企業名公表などが行われます。

基準地価の価格指数

2024年の基準地価の都道府県別の価格指数が公表されました。
これは、令和6年7月1日現在の1平方メートルあたり千円の指数です。
住宅地、宅地見込地、商業地、工業地、林地に区分されています。

福岡においては、大型再開発や旺盛な住宅需要、インバウンドの増加で地価が上昇しています。商業地の最高価格は、地下鉄天神駅近くの「天神木村家ビル」で1平方メートルあたり910万円で、前年から3.4%伸びました。
住宅地、商業地も上昇しており、いずれも県庁所在地ベースでは全国トップでした。
同地区の周辺は福岡の一等地エリアで、市の再開発促進策・天神ビックバンによるオフィスビルの建て替えが相次ぎ、2025年春頃には目玉プロジェクトである西日本鉄道のワン・フクオカ・ビルディングが開業予定です。
九州大学の箱崎キャンパス跡地の再開発は住友商事、JR九州などが先端技術を活用したスマートシティへの期待で地価が上昇しました。
工業地では、物流施設用地として需要が高く、アクセスに優れている糟屋郡が上昇しています。
北九州市においては、最高価格は小倉北区魚町1丁目であり全般的若干の上昇となっています。

クラウドファンディングの会計処理

資金調達の手段として、インターネット上で支援者を募れる「クラウドファンディング(CF)」を活用する事業者が増えています。
CFは何らかの目的を掲げて資金を募り、不特定多数の人々がインターネットを経由して資金を提供する仕組みです。支援を募る人、法人または個人の資金調達の目的や目標額を設定して専門ウェブサイトに公開し、その内容に共感した支援者はウェブサイトを介して資金を提供します。大きく分けると、支援者に対して商品やサービスを見返り提供する購入型と、リターンを必要としない寄附型が主流です。東日本大震災を機に寄附が認知され、コロナ禍をきっかけにサービスを提供する型の活用方法が行われました。

CFが拡大する中で、CF特有の会計処理を確認してみましょう。
最も多く利用されている商品、サービスなどのリターンを提供する型の場合の収益計上の時期は、法律上の売買契約とみなされ、収益にあたる調達資金に対して課税が発生します。会計処理上のルールは入金時に前受金として計上し、リターン提供時に売上ないし雑収入に計上します。
一方、リターンを提供しない寄附型である場合は受贈益となります。

CFを行う主体が個人名義の場合、購入型と寄附型で会計処理は異なります。購入型であれば、個人事業主なら事業所得、そうでなければ雑所得として確定申告が必要です。
寄附型であれば、資金は贈与とみなされ贈与税が課せられます。事業者であれば一時所得です。
インターネット上に起こるFCは、国税当局は反面に手間をかけるまでもなく、対象となる収益金額を把握することができます。

裁判事例

「使用貸借により駐車場の賃料を子に帰属させたことがみなし贈与と判断された事例」です。

令和5年6月13日 国税不服審判所
内容
父の所有する駐車場である土地を
①使用貸借契約により借り、その契約は転貸ができる旨の特約がある形で作成されている。
②アスファルト舗装等を子に贈与した。
③土地の各区画の賃借人との賃貸借契約を子との契約とした。
④賃料等の振込先を子の名義の口座にした。
以上の条件で子の不動産の収入とした。

判断
相続税法第9条のみなし贈与の規定で、
「対価を支払わないで」「利益を受けた場合」
この経済的利益の取得は広く財産の増加又は債務の減少があった場合を含むとしている。
①アスファルト舗装は土地の構成部分であり独立の所有権が成立しないので贈与は無効。
②不動産所得は土地の使用の対価として受けるべきもので、所有権者に帰属するべきであり、使用貸借である子には有しない。父から使用貸借に基づく法定果実収得権を付与されたことが、子が当然に実質的にも土地からの収益を享受する者に当たると判断することはできない。子が取得したことは相9条に該当するとして、父から子への贈与処分とされた。

本件は、大阪高裁の令和4年7月20日判決の後続事案です。大阪高裁においては駐車場の収益の帰属が争われました。
父の土地の法定果実収得権の付与を継続していたこと自体が、父が所有権者として享受すべき収益を子に自ら無償で処分している結果であると評価しています。父に帰属するという結論です。
課税実務上、民法第593条に規定される使用賃借により、使用借主が無償で土地を借用し、第三者に転貸した場合の不動産所得は土地の所有権者である使用貸主に帰属することになります。

あらゆる税務手続が税務署に行かずにできる社会

国税庁は「あらゆる税務手続が税務署に行かずにできる社会」の実現として、キャッシュレス納付の利用拡大に取り組んでいます。
社会の効率と行政コストの抑制の観点から令和6年5月よりe-Taxにより申告書を提出している法人には、納付書の送付を取りやめています。税務署に赴き、納付書を貰うことは可能ですが、納付書での納付をする際のお願いとして、税務署で用意した所定の納付書を使ってくださいとのことです。会計ソフトで作成した市販の用紙で印刷したものでは読み取りが正しくできないそうです。

そこで、今後の納付方法を考えてみることにしました。
1.ダイレクト納付
2.振替納税
3.インターネットバンキング等による納付
4.クレジットカード納付
5.スマホアプリ納付
6.コンビニ納付(QRコード)

1.ダイレクト納付
会社がインターネットバンキングをしておらず、納付書を使って納税しない場合にも対応します。電子申告が終わったあとに日にちを設定し支払う方法になります。ダイレクト納付は書類を提出して登録する必要がありますが、口座を登録するだけで済みます。
注意点は、ダイレクト納付できない金融機関があることです。
手数料は不要で、領収証の発行はありませんがe-Taxのメッセージボックスに完了通知が来るようになっています。

3.インターネットバンキング
電子申告が終わったあとに納付するスタイルです。
電子申告のあと、収納機関番号、納付番号、確認番号、納付区分が必要となります。
注意点は納付できない金融機関があることです。

4.クレジットカード納付
電子申告をしたあとに手続をして納付しますが、カード手数料が発生します。

以上、手数料と手続を考えるとダイレクト納付の届出をし、口座引落が利用しやすそうだと思われます。