消費税法改正のお知らせ

令和2年4月に消費税法等の一部が改正されました。主な改正点は以下の通りです。
 
⒈法人に係る消費税の申告期限の特例の創設
①概要
「法人税の申告期限の延長の特例」の適用を受ける法人が、「消費税申告期限延長届出書」を提出した場合には、その提出した日の属する事業年度以後の各事業年度終了の日の属する課税期間に係る消費税の確定申告期限を1月延長する。
なお、この特例の適用により、消費税の確定申告の期限が延長された期間の消費税及び地方消費税の納付については、その延長された期間に係る利子税を併せて納付することになります。
②適用開始時期
令和3年3月31日以後に終了する事業年度終了の日の属する課税期間から適用されます。なお、届出書は令和3年3月31日前であっても提出することができます。
 
⒉居住用賃貸建物の取得等に係る消費税の仕入税額控除の適正化
①概要
事業者が国内において行う居住用賃貸建物(住宅の貸付の用に供さないことが明らかな建物以外の建物であって高額特定資産又は調整対象自己建設高額資産に該当するもの)に係る課税仕入れ等の税額については、仕入税額控除の対象としないこととされました。
②適用開始時期
令和2年10月1日以後に行われる居住用賃貸建物の課税仕入れ等の税額について適用されます。
③経過措置
令和2年3月31日までに締結した契約等に基づき令和2年10月1日以後に行われる居住用賃貸建物の課税仕入れ等については、この制限の適用外となります。
 
⒊住宅の貸付に係る非課税範囲の見直し
①概要
住宅の貸付については、その貸付に係る契約において「人の居住の用」に供することが明らかな場合に、消費税が非課税とされていますが、その契約において貸付に係る用途が明らかにされていない場合であっても、その貸付等の状況からみて人の居住の用に供されていることが明らかな場合には、消費税を非課税とすることとされました。
②適用開始時期
令和2年4月1日以後に行われる住宅の貸付から適用されます。

この他の改正点や消費税以外の税目改正点などにつきましても、随時お知らせいたします。

持続化給付金について

新型コロナウイルス感染症の影響拡大を受け、緊急経済対策における税制上の措置及び給付金、納税の猶予等が経済産業省、各都道府県、市区町村から公表されています。
まずは、皆様の事業に直結する給付として経済産業省の方から、持続化給付金の申請要領等が4月27日に公表されましたのでお知らせいたします。
給付金の申請期間は、令和2年度補正予算の成立翌日から令和3年1月15日までとなっています。但し、一度給付を受けた方は再度給付申請することができません。
持続化給付金の内容としまして、以下の様な内容となっております。

給付額
法人は200万円、個人事業者は100万円
ただし、昨年1年間の売上からの減少分を上限とします。
金額は、10万円単位とし、10万円未満の端数があるときは、その端数は切捨てとなります。

売上減少分の計算方法
前年の総売上(事業収入)-(前年同月比▲50%月の売上×12ヶ月)

給付対象要件
⒈新型コロナウイルス感染症の影響により、ひと月の売上が前年同月比で50%以上減少している事業者
⒉2019年以前から事業による事業収入(売上)を得ており、今後も事業を継続する意思がある事業者
⒊法人の場合、2020年4月1日時点で、資本金の額又は出資の総額が10憶円未満もしくは常時使用する従業員数が2,000人以下である事業者
⒋給付額に関する特例として、2019年に設立した法人、合併、個人からの法人成りした場合などのほかにも特例がありますので検討が必要です。

必要書類
⒈法人の場合
①対象月の属する事業年度の直前の事業年度の確定申告書別表一の控え及び事業概況説明書
②月間事業収入がわかるもの
③通帳の写し
⒉個人の場合
①2019年分の確定申告書第一表の控え及び青色申告決算書
②月間事業収入がわかるもの
③通帳の写し
④本人確認書類
法人、個人ともにこのほかの書類が必要となる場合もあります。

申請方法
持続化給付金の申請用HP(令和2年度補正予算の成立後公表)からの電子申請。

渡辺税理士事務所におきましても、必要な書類の用意や相談など、可能な限りのお手伝いをさせていただきます。

申告所得税等及び個人消費税の振替納付日のご案内

新型コロナウイルス感染症の拡大防止の観点から、申告所得税等(復興特別所得税を含む。)、贈与税、個人事業者の消費税等(地方消費税を含む。)の申告期限、納付期限が延長されております。
延長後の各申告期限及び納付期限は下記の通りです。
申告所得税等     令和2年4月16日
個人事業者の消費税  令和2年4月16日
贈与税        令和2年4月16日
申告期限の延長に伴い、振替納税を利用されている方の振替納付日は下記の通りとなります。
申告所得税等     令和2年5月15日
個人事業者の消費税  令和2年5月19日
また、申告所得税の延納を利用する場合、延納分の納期限及び振替日は令和2年6月1日で変更はありませんので、ご注意ください。
なお、新型コロナウイルス感染症の影響により、国税を一時に納付することができない場合、税務署に申請すれば、法令の要件を満たすことで、原則として1年以内の期間に限り換価の猶予が認められます。
さらに、新型コロナウイルス感染症にり患された場合等、個別の事業がある場合には、納税の猶予が認められることもあるようです。

令和元年度確定申告書の記載事項及び添付書類の改正点

令和2年2月17日より、令和元年分の所得税の確定申告が始ります。
令和元年分の確定申告より、確定申告書の記載事項及び添付書類の改正についてお知らせします。
⑴記載事項の改正点
その年において支払を受けるべき給与等で年末調整の適用を受けたものを有する居住者が確定申告書を提出する場合には、その確定申告書の記載事項のうち年末調整で適用を受けた控除額と同額である所得控除に係る事項については、その控除の額等の簡便な記載によることができることとされました。
⑵添付書類の改正点
次に掲げる書類については、確定申告書に添付し、又は確定申告書の提出の際提示することを要しないこととされました。
①給与所得、退職所得及び公的年金等の源泉徴収票
②オープン型証券投資信託の収益の分配の支払通知書
③配当等とみなす金額に関する支払通知書
④上場株式配当等の支払通知書
⑤特定口座年間取引報告書
⑥未成年者口座年間取引報告書
⑦特定割引債の償還金の支払通知書
上記⑴の改正は、令和元年分以後の確定申告書を平成31年4月1日以後に提出する場合について、上記⑵の改正は、平成31年4月1日以後に確定申告書を提出する場合について適用されますが、申告書等の作成については、源泉徴収票等の内容を記載する必要があるため、源泉徴収票等が必要になりますのでご注意ください。

令和2年度税制改正の動向について

自民党は、令和1年12月20日に令和2年度の税制改正大綱を閣議決定しました。
令和2年度の税制改正大綱では、現行NISA制度の拡充としての、令和6年からの新しいNISA制度が創設されつつ、つみたてNISA制度の投資期間が令和24年まで5年間延長される予定となっています。
また、国外中古建物の不動産所得に係る損益通算の特例の制度が設定され、未婚のひとり親に対する寡婦(寡夫)控除の見直しを図るそうです。
さらに、所有者不明土地等に係る課税上の課題への対応や5G投資促進税制、企業版ふるさと納税の拡充・延長も大綱には盛り込まれています。
これらの事案は税制改正の大綱に記載されている段階であるため、まだ確定ではなく、今後国会に提出される予定の法案等において、具体的な内容が把握されるものであります。
税制改正として、内容が確定された際には、改めてお知らせ致します。

消費税ポイント還元制度について

消費税率引上げと同時に期間限定で始まった「キャッシュレス決済ポイント還元」(以下ポイント還元制度)について、大手コンビニ各社は、即時充当と呼ばれる方式により購入者へポイントを還元しています。
即時充当とは、購入時に付与されるポイントが、その購入時の支払金額に即時に充当される仕組みであり、交通系ICカードなどから徴収される金額は、充当されたポイント分を控除した後の金額となります。
しかし、即時充当は割引券等の使用による値引きではないため、仕入税額控除の計算の対象となる金額は、レシートに記載された税込価額となり、即時充当により購入時の支払金額から控除されたポイントの部分は雑収入(消費税は不課税収入)として処理されます。
即時充当の場合、支払金額がポイントを控除した後の金額であることから値引きのように思えますが、値引きの処理ではなく、費用と収入の両建ての処理となりますので、実際の実務の際は、処理方法にご注意ください。

令和元年分の年末調整における留意点及び令和2年分から適用される主な税制改正点について

令和元年分の年末調整の留意点と令和2年分から適用される主な改正点について、お知らせします。
1.令和元年分の年末調整の留意点
復興特別所得税の計算・・・所得税の源泉徴収義務者は、平成25年1月1日から令和19年12月31日までの間に生ずる所得について源泉所得税を徴収する際、復興特別所得税を併せて徴収し、源泉所得税の法定納期限までに、その復興特別所得税を源泉所得税と併せて国に納付しなければなりません。
このため、年末調整において年税額を計算する際にも、復興特別所得税を含めた年税額(年調年税額)を算出する必要があります。
2.令和2年分から適用される源泉所得税に関する主な改正点
⑴給与所得控除の改正・・・給与所得控除額が一律10万円引下げられ、上限額が適用される給与等の収入金額が850万円、その上限額が195万円にそれぞれ引下げられました。
⑵基礎控除の改正・・・基礎控除額が10万円引き上げられ、合計所得金額が2,400万円を超える所得者については、その合計所得金額に応じて控除額が逓減し、合計所得金額が2,500万円を超える所得者については、基礎控除の適用はできないとされました。
⑶所得金額調整控除の創設・・・その年の給与等の収入金額が850万円を超える所得者で、特別障害者に該当するもの又は年齢23歳未満の扶養親族を有するもの若しくは特別障害者である同一生計配偶者若しくは扶養親族を有するものの総所得金額を計算する場合には、給与等の収入金額(その給与等の収入金額が1,000万円を超える場合には、1,000万円)から850万円を控除した金額の10%に相当する金額を、給与所得の金額から控除することとされました。
⑷「給与所得者の基礎控除申告書」及び「所得金額調整控除申告書」の新設・・・⑴~⑶の改正に伴い、「給与所得者の基礎控除申告書」及び「所得金額調整控除申告書」が新たに設けられ、配偶者控除申告書が「基礎控除申告書兼配偶者控除申告書兼所得金額調整控除申告書」となる予定です。
⑸扶養控除申告書の様式の変更・・・扶養控除申告書の住民税に関する事項に単身児童扶養者の欄が追加され、令和2年分から様式が変更になっております。

消費税の軽減税率制度について その②

令和元年10月1日の消費税率引上げと同時に、消費税の軽減税率制度が実施されます。
軽減税率の対象となるのは、「酒類・外食を除く飲食料品の譲渡」、「週に2回以上発行される一定の新聞」です。
今回は、国税庁より公表されております消費税の軽減税率制度に関するQ&Aより、【水】に関する部分と【自動販売機】に関する部分についてご紹介します。
①水の販売
「食品」とは、人の飲用又は食用に供されるものをいいますので、人の飲用又は食用供されるものであるいわゆるミネラルウォーターなどの飲料水は「食品」に該当し、軽減税率の対象となりますが、水道水は、炊事や飲用のための「食品」としての水と、風呂や洗濯などの生活用水としての水が混然一体となり提供されるものですから、軽減税率の対象とならず、標準税率となります。
また、ウォーターサーバーで使用する水は「食品」に該当するため軽減税率の対象となりますが、ウォーターサーバー本体のレンタル料については、資産の貸付の対価であるため軽減税率の対象とはならず、標準税率となります。
②自動販売機での販売
自動販売機により行われるジュース、パン、お菓子等の販売は、飲食料品を飲食させる役務の提供を行っているものではなく、単にこれらの飲食料品を販売するものであることから「飲食料品の譲渡」に該当し、軽減税率の対象となります。
③自動販売機の手数料
自動販売機の設置により、飲料メーカーより受ける販売手数料は、自動販売機の設置という「役務の提供」の対価に該当するため、軽減税率の対象とならず標準税率となります。
軽減税率制度により、複数税率の適用がされ消費税の取り扱いが複雑となりますので、個別の事案についてはご注意ください。

消費税の軽減税率制度について

令和元年10月1日の消費税引上げと同時に、消費税の軽減税率制度が実施されます。
軽減税率の対象となるのは、「酒類・外食を除く飲食料品の譲渡」、「週に2回以上発行される一定の新聞」です。
国税庁より公表されております、消費税の軽減税率制度に関するQ&A(個別事例編)より一部をご紹介します。
①栄養ドリンクの販売
栄養ドリンクのうち、「医薬品、医薬部外品、再生医療等製品」に該当する栄養ドリンクは、軽減税率の対象となりません。
その他の医薬品等以外の栄養ドリンクは、食品のため軽減税率の対象となります。
②いちご狩りやなし狩りなどの入園料
いちご狩りやなし狩りなどの入園料は、飲食料品の譲渡に該当しないため軽減税率の対象となりません。
なお、収穫した果物などについて別途対価を徴収している場合のその果物などの販売については飲食料品の譲渡になるため、軽減税率の対象となります。
潮干狩りや釣り堀等についても同様の取り扱いとなります。
③カタログギフトの販売・購入
カタログギフトの販売・購入については、飲食料品の譲渡に該当しないため軽減税率の対象となりません。
食品のみを掲載しているカタログギフトであっても同様に取扱われ、軽減税率の対象となりません。
④紙の新聞と電子版の新聞のセット販売
紙の新聞は、週に2回以上発行される一定の新聞であれば軽減税率の対象となります。
電子版の新聞は、新聞の譲渡に該当しないため、軽減税率の対象となりません。
したがって、紙の新聞と電子版の新聞のセット販売では、紙の新聞の金額部分は、軽減税率の対象・電子版の新聞の金額部分は軽減税率の対象外となります。

個別の事案について軽減税率の対象であるのか否か、はっきりとわからない部分はまだ存在しており、国税庁のQ&Aについても今後さらに改訂される見込みではありますが、個別の事案についてはよりご注意ください。

民法改正に伴う税制上の措置について

2018年に民法等(相続関係)の改正により、配偶者の居住権を保護するための方策として、配偶者居住権及び配偶者短期居住権が創設されました。
また、相続人にのみ認められていた従来の寄与分制度の見直しがされ、被相続人の療養看護を行った相続人以外の親族(特別寄与者)が、一定の要件の下で、相続人に対して金銭請求(特別寄与料の請求)をすることができる特別寄与の制度も創設されました。
1.配偶者居住権・配偶者短期居住権
「配偶者居住権」とは、配偶者が相続開始時に居住していた被相続人の建物を対象として、終身又は一定期間、配偶者に建物の使用を認める法定上の権利をいい、相続税法上その配偶者の、相続財産として評価されます。
「配偶者短期居住権」とは、配偶者が相続開始時に被相続人の建物(居住財産)に無償で住んでいた場合に、配偶者が一定期間(原則として、遺産分割が終了する日までの間、最低6ヶ月は保障されます。)居住建物を無償で使用できる権利をいい、配偶者短期居住権は相続税法上、相続財産の評価の対象とはなりません。
2.特別寄与料の取扱い
特別寄与者が、特別寄与の権利を行使した際に支払われる「特別寄与料」は相続税法上、みなし相続財産とされることとなり、特別寄与者はこの特別寄与料を被相続人から、遺贈により取得したものとみなされて相続税が課税されます。
なお、相続人が支払うべき特別寄与料の額は、相続人の相続税の課税価格から控除することとなります。
また、特別寄与の権利の行使により新たに相続税の申告義務が生じた場合は、当該事由が生じたことを知った日から10ヵ月以内に相続税の申告書を提出しなければなりません。
そのほか、更正の請求の特則等の対象に特別の寄与の事由が加えられる見直しも行われております。

個別事案についての適用関係並びに各金額の算定においては、ご注意ください。

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