親と子や祖父と孫、親族間の貸し借りでは金銭消費貸借契約を交わさない。返済や利息の払いも決めないお金のやり取りを行ったケースの場合、貸し借りの事実を証明するすべがないため、国税当局から贈与とされ、贈与税の課税対象となってしまいます。贈与額が高ければ贈与税の税率は上昇します。
裁判所の判決によれば、「親族間で財産的利益の付与がされた場合、特別の事情が存在しない限り贈与があったものと認めるのが相当である」「貸与が明らかでない限り、贈与があったものと認めるのが相当」と認識を示しています。
親族間の資金移動が金銭の貸借だと主張するためには以下の要件を準備することが大切です。
1.金銭消費貸借契約書を2通作成し、双方の所有とする。
日時を明確にするためには、公証人役場で確定火の日付印を押してもらうと明確に贈与日が確定できます。
2.返済履歴の明確化。
形式的に賃貸としているが、返済の形跡がない。出世払いと言ったりするが、借入金そのものが贈与になるので、預貯金の通帳を通じて履歴を残すのがよいでしょう。
3.契約書の作成時に借入金にかかる利息を設定する。
借入金が無利息の場合、利子相当額の利益を受けたものとして贈与として取り扱われる場合があります。通達で、夫婦間や親子の場合の特殊関係間のある者のあいだで交わされた金銭貸借の利息は、その受ける金額が少額である場合は強いてこの取り扱いをしなくても妨げないものとすると記載があります。しかし、少額と示す金額の記載はありません。
将来にわたるリスク、あらかじめの準備をもっての対応が必要になるかと思います。