インボイス制度の令和5年度税制改正において「1万円未満の少額な売上値引き」等に関しては、原始証憑たるインボイスの発行が免除されます。
主に振込手数料等に関してですが、包括的には
①値引き ②割引き ③割戻し
の3つのパターンがあります。売り手負担の振込手数料が①に該当します。
参考として
条件
・決済すべき金額 100,000円
・振込手数料 1,100円(うち消費税額100円)
・買い手側は100,000円から振込手数料を差し引いて売り手側に支払った。
・売り手側は金融機関に対して振込手数料を負担する手続きは行っていない。
イ 従来の一般的な処理
・買い手側
買掛金 100,000円 / 現預金 100,000円
・売り手側
現預金 98,900円 / 売掛金 100,000円
振込手数料 1,000円
仮払消費税 100円
ロ 正式な処理(振込手数料相当額を値引として処理)
・買い手側
買掛金 1,100円 / 仕入値引 1,000円
仮払消費税 100円(仕入対価の返還)
買掛金 98,900円 / 現預金 98,900円
振込手数料 1,000円 / 現預金 1,100円
仮払消費税 100円
・売り手側
売上値引 1,000円 / 売掛金 1,100円
仮受消費税 100円 (売上対価の返還)※
※本来なら返還インボイスの発行を必要とする。
現預金 98,900円 / 売掛金 98,900円
実務的には商品等、通常取引における値引き、割引き、割戻しを金額基準で返還インボイスを発行するか、否か、の判断をしなければならず、発行に関してシステムで自動判定できる取引を除けば発行義務免除に該当する場合も実務的には返還インボイスは発行されると思います。通常取引で返還インボイスを発行しなければ、債権債務の消し込みに影響が出る可能性があります。