平成30年度税制改正により、所得拡大促進税制が改組されることとなり、中小企業者においては従来制度より、適用要件が緩和されておりますので、 中小企業者の従来制度との相違点についてお知らせします。
なお、今回の改正は平成30年4月1日以後開始する事業年度より適用されることとなります。
①基準年度との比較要件の撤廃
従来制度では、基準年度の給与等支給額との比較が必要でしたが、改正によりその要件は撤廃されます。
②雇用者給与等支給額>前期雇用者給与等支給額
従来制度では、前期分の給与等支給額以上であったところが、改正により前期分の給与等支給額を超えなければならなくなりました。
③平均給与等支給額≧前期平均給与等支給額×101.5%
従来制度では、前期分の平均給与等支給額を超えていればよかったのですが、改正により前期分の平均より1.5%以上の賃上げが必要となります。
④継続雇用者の判定方法の変更
従来制度では、前期及び当期の中途入退社の従業員の給与を集計する必要がありましたが、改正により前期及び当期の全期間の各月に給与等の支給を受けた雇用者のみが継続雇用者の対象となりますので、判定要件が簡素化されます。
⑤税額控除額の引上げ
従来制度では、賃上部分の10%(一定の要件を満たす場合は上乗せあり)であったところが、改正により賃上部分の15%(一定の要件を満たす場合は25%)に引き上げられます。
基準年度との比較要件の撤廃により、前期分より1.5%以上の賃上げで税額控除の適用を受けることができるようになり、判定も簡素化され、控除額も引き上げられた改正となっております。平成30年4月1日以後開始する事業年度よりの適用であり、3年間の時限措置でもあるため、改正後の制度の適用か従来の制度の適用なのかについては、ご注意ください。