2018年に民法等(相続関係)の改正により、配偶者の居住権を保護するための方策として、配偶者居住権及び配偶者短期居住権が創設されました。
また、相続人にのみ認められていた従来の寄与分制度の見直しがされ、被相続人の療養看護を行った相続人以外の親族(特別寄与者)が、一定の要件の下で、相続人に対して金銭請求(特別寄与料の請求)をすることができる特別寄与の制度も創設されました。
1.配偶者居住権・配偶者短期居住権
「配偶者居住権」とは、配偶者が相続開始時に居住していた被相続人の建物を対象として、終身又は一定期間、配偶者に建物の使用を認める法定上の権利をいい、相続税法上その配偶者の、相続財産として評価されます。
「配偶者短期居住権」とは、配偶者が相続開始時に被相続人の建物(居住財産)に無償で住んでいた場合に、配偶者が一定期間(原則として、遺産分割が終了する日までの間、最低6ヶ月は保障されます。)居住建物を無償で使用できる権利をいい、配偶者短期居住権は相続税法上、相続財産の評価の対象とはなりません。
2.特別寄与料の取扱い
特別寄与者が、特別寄与の権利を行使した際に支払われる「特別寄与料」は相続税法上、みなし相続財産とされることとなり、特別寄与者はこの特別寄与料を被相続人から、遺贈により取得したものとみなされて相続税が課税されます。
なお、相続人が支払うべき特別寄与料の額は、相続人の相続税の課税価格から控除することとなります。
また、特別寄与の権利の行使により新たに相続税の申告義務が生じた場合は、当該事由が生じたことを知った日から10ヵ月以内に相続税の申告書を提出しなければなりません。
そのほか、更正の請求の特則等の対象に特別の寄与の事由が加えられる見直しも行われております。
個別事案についての適用関係並びに各金額の算定においては、ご注意ください。