政府税調の専門家会合で、暦年課税に関しての意見が述べられています。
毎年110万までは贈与税がかからなく、連続的に贈与を繰り返している者は多くいるでしょう。又、贈与税の申告を連年で行っている者もいます。
その連年での贈与の割合が明らかにされました。
平成27年から令和2年分の間に
29歳までの者で17%、
30歳以上59歳までの者で12%、
60歳以上の者で40%が
複数年にわたって贈与税の申告を行っています。
その中で相続財産の多い、ごく1部の者は贈与税の負担率が、相続税の負担率を下回る傾向があります。
こうした者が「財産の分割贈与を通じて、相続税の累進負担を回避しながら多額の財産を移転することが可能」となっています。
このことから、暦年課税における相続前贈与の加算について期間を延長することが適当ではないかという意見が上がっています。
現在、相続申告前3年の贈与に関して相続財産に含めることになっています。近年、寿命が大きく延びたことにより生前贈与ができる期間が長くなっていることなどから、期間を延長することが適当ではないかとしています。
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4年分年末調整について
国税庁は9月に4年分年末調整のための各種様式、4年分年末調整のしかた、4年分給与所得の源泉徴収票等の5年分源泉徴収額表などを掲載しました。
今年からエクセルで年末調整の税額計算等を行うことができる「年末調整計算シート」を提供し、ダウンロードをして利用することができる様になりました。
法定調書関係の4年分の主な改正事項としては、
①給与支払報告書の提出枚数が2枚から1枚
②成人年齢の引き下げに伴う源泉徴収票の「未成年者」欄の記載
③短期退職手当等について、退職所得の金額の計算方法の改正
5年1月からの源泉所得関係の改正事項は、
①非居住者である扶養親族に係る扶養控除の適用要件改正
②扶養控除等(異動)申告書の住民税に関する事項の改正
が挙げられています。
成人年齢が20歳から18歳に引き下げられる民法改正に伴う相続税、贈与税への影響
令和4年4月1日より、民法改正によって成人年齢が20歳から18歳に引き下げられました。
これに伴い、適用日等の確認が必要かと思います。
①贈与税関係
相続時精算課税、住宅取得等資金の非課税控除、贈与税の特例税率の適用は4月1日以後はその年の1月1日において18歳以上となります。
事業承継税制の適用は、4月1日以後は贈与の日において、18歳以上50歳未満です。
結婚、子育て資金の非課税措置の適用は4月1日以後は結婚、子育て資金管理契約締結の日において18歳以上50歳未満です。
②相続税関係
未成年者控除の適用は、4月1日以後は相続等の日において18歳未満となります。
適用日の確認、そして贈与等を確認した方が良さそうです。
インボイス制度での仕入控除の注意点
免税事業者等からの課税仕入等については、仕入税額控除の適用が期間に応じて一定割合の控除ができなくなります。
法人税では、この一定割合が控除できない額についている「対価の額」に含めて、課税所得の計算をすることとされている為、仕入時に「対価の額」に含める処理が求められます。
一定割合の控除の制限とは、
R5.10.1~R8.9.30は仕入税額相当額の80%
R8.10.1~R11.9.30は仕入税額相当額の50%
R11.10.1以降はなし
6年経過すると免税事業者の仕入相当額全額に仕入税額控除を行えなくなります。
例として経過措置80%控除の場合、仕入額100,000円、消費税(10%)10,000円の商品税込110,000円の仕入、税抜き処理の場合
仕入 100,000 現金 110,000
仮払消費税 10,000
仕入 2,000 仮払消費税 2,000
となります。
決算時に対応する方法として仕入時は現行と同様の処理を行いますが、この場合免税事業者から経費を支払った場合と棚卸資産を仕入れた場合に分けて考えなければなりません。
①経費を支払った場合
消耗品費 100,000 現金 110,000
仮払消費税 10,000
雑損失 2,000 仮払消費税 2,000
②棚卸資産を仕入れた場合
期末在庫の有無で申告調整の必要性が変わります。
無しの場合、調整は必要ありませんが、棚卸が有りの場合は調整が必要です。
仕入1本100,000、個数20個、税抜2,000,000の場合
仕入 2,000,000 現金 2,200,000
仮払消費税 200,000
雑損失20% 40,000 仮払消費税 40,000
棚卸が無い場合は上記のような仕訳になりますが、棚卸5本500,000の商品がある場合
商品 500,000 仕入 500,000
この消費税10% 50,000×20%=10,000が仕入原価にならないため、対価の額に入れられないので10,000は別表4加算、別表5(1)増加となり、調整する必要が出てきます。
所得税の青色申告特別控除の65万円
控除を受けるための要件は、次に掲げる要件になります。
1.不動産所得又は、事業所得を生ずべき事業を営んでいること。
2.これら所得に係る取引を正規の簿記の原則により記帳していること。
3.(2)の記帳に基づいて作成した貸借対照表及び損益計算書を確定申告書に添付し、この控除の適用を受ける金額を記載して確定申告期限内に提出すること。
4.その年分の事業に係る仕訳帳及び総勘定元帳について電子帳簿保存を行っていること。
5.その年分の所得税の確定申告書、貸借対照表及び損益計算書の提出を確定申告の提出期限までにe-taxを使用して行うこと。
さて、(4)の「電子帳簿保存を行っていること」について、65万円の青色申告特別控除の控除要件として、「優良な電子帳簿」の要件を満たしている場合に限るとされました。
また、優良な電子帳簿について一定の国税関係帳簿(青色申告者、消費税事業者の備え付ける帳簿)の保存を行う者で事前に届出を提出した者については、過少申告加算税が5%軽減されることになりました。
インボイス制度での手書き領収書及び適格簡易請求書
令和5年10月1日より消費税においてインボイス制度が導入されますが、導入後においても一定の事項を記載していれば、手書きの領収書であっても適格請求書として交付することができます。また、一定の事業の場合には記載事項が簡易な「適格簡易請求書」の交付も認められています。
手書き記載事項
①適格請求書発行事業者の氏名、名称、登録番号
②課税資産の譲渡等を行った年月日
③その内容
④税抜、税込価額を税率ごとに区分して合計した金額及び適用税率
⑤税率ごとに区分した消費税額等
⑥書類の交付を受ける事業者の氏名、または名称
「適格簡易請求書」とは
不特定多数の者、小売等、飲食等、タクシー等に課税資産の譲渡を行う場合は「適格簡易請求書」を交付することができます。
交付を受ける氏名、または名称の記入は不要です。税率ごとに区分した消費税額等または、適用税率いずれか一方の記載で良いことになっています。
不動産登記の義務化
「所有者不明土地」とは所有者の把握が難しい土地、すなわち、不動産登記簿等の所有者台帳により、所有者が直ちに判明しない又は、判明しても直ちに連絡がつかない土地のことをいいます。
所有者不明土地の多くは相続時に登記申請がなされないことに起因して発生しており、特に近年の都市部への人口移動や高齢化により放置され、複次的に相続が発生することにより、土地の共有者が増加していったことが多数の所有者不明土地が生ずるに至った原因とされています。
「民法等の一部を改正する法律」及び「相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する法律」が公布されています。相続登記の義務化についてみてみると、令和6年4月1日の相続登記より義務化され、不動産を取得した相続人はその取得を知った日から3年以内に相続登記の申請をする義務を負い、正当な理由なく申請を怠った場合には10万円以下の過料に処せられることになっています。
補助金のインボイス枠について
「小規模事業者持続化補助金」のうち令和3年度補正予算で拡充したインボイス枠の概要が中小企業庁のホームページに公表されました。
小規模事業者持続化補助金のインボイス枠は、令和3年9月30日から令和5年9月30日の属する課税期間で一度でも消費税の免税事業者であった、または消費税の免税事業者であることの見込まれる事業者で、消費税の課税事業者のみ発行可能となる適格請求書(インボイス)の発行事業者登録を行い、販路開拓の取組みを行う小規模事業者であることが申請要件とされています。
消費税の免税事業者からインボイス発行事業者に転換する場合の環境変化への対応を支援する上乗せ枠であるため、補助上限額が通常の50万円から100万円に引上げられています。補助率については3分の2で変更はありません。
また、「IT導入補助金」についても令和3年度補正予算でインボイス制度導入への対応を見据えつつ、企業間取引のデジタル化を強力に推進することを目的に、➀会計ソフト、受発注ソフト、決済ソフト、ECソフトに補助対象を特化して補助率を引き上げる、➁クラウド利用料を最大2年分まとめて補助する、➂PC・タブレット、レジ・券売機等の購入を補助対象に追加する拡充が行われています。
個々の事案により適用要件は異なりますので、個別のご確認をよろしくお願いいたします。
所得税等の確定申告期限と振替納税日について
令和3年度の所得税等の確定申告の申告期限について、令和4年2月3日に国税庁より報道発表資料が公表されました。
令和3年度については、一律による確定申告の申告期限の延長は行われませんが、オミクロン株による感染の急速な拡大に伴い、確定申告期間(申告所得税:令和4年2月16日~令和4年3月15日)にかけて、感染者や自宅待機者のほか、通常の業務体制が維持できないこと等により、申告が困難となる納税者が増加することが想定されており、こうした状況を踏まえ、令和3年分の確定申告について、新型コロナウイルス感染症の影響により申告等が困難な方については、令和4年4月15日までの間、簡易な方法による申告・納付期限の延長を申請できるようになっております。
簡易な方法とは、申告書を書面で提出する場合申告書の右上の余白に「新型コロナウイルスによる申告・納付期限延長申請」と記載する方法です。
確定申告書等作成コーナーを利用してe-taxで提出する場合は、「送信準備」画面の「特記事項」欄に、「新型コロナウイルスによる申告・納付期限延長申請」と入力します。
また、各種会計ソフトを利用してe-taxで提出する場合は、所得税の申告書等送信票(兼送付書)の特記事項欄に、「新型コロナウイルスによる申告・納付期限延長申請」と入力することとなります。
納付期限は、所得税及び復興特別所得税は令和4年3月15日、消費税及び地方消費税(個人事業者)は令和4年3月31日、贈与税は令和4年3月15日となっており、振替納税を利用している場合の口座振替日は、所得税及び復興特別所得税は令和4年4月21日、消費税及び地方消費税(個人事業者)は令和4年4月26日となっております。
簡易な方法による申告期限の延長を利用した場合の納付期限は、申告書と提出した日となりますのでご注意ください。
また、簡易な方法による申告期限の延長を利用した場合の振替納税の口座振替日は別途国税庁からお知らせが公表され次第、お知らせいたします。
中小企業における所得拡大促進税制の改正
中小企業における所得拡大促進税制について、税額控除率の上乗せ措置の見直しが行われ、その適用期限が1年間延長される改正が行われます。
今回の改正により、税額控除額は最大で、給与等支給増加額の40%へと拡充されます。
適用要件・・・改正による変更はありません。適用年度の雇用者給与等支給額≧比較雇用者給与等支給額✖101.5%
税額控除額
➀上乗せなし・・・控除対象雇用者給与等支給増加額✖15%
➁適用年度の雇用者給与等支給額≧比較雇用者給与等支給額✖102.5%の場合・・・➀の控除率に15%加算されます。
➂適用年度の教育訓練費の額≧前年度の教育訓練費の額✖110%の場合・・・➀の控除率に10%加算されます。
上記、➀、➁、➂の全てを満たすときの最大控除率は40%になります。
控除額の上限は、適用年度の法人税額の20%が上限であり、改正による変更はありません。
今回の改正により、控除税額の上乗せに関する要件のうち、経営力向上計画の認定に係る要件はなくなりました。
また、教育訓練費に係る税額控除の上乗せ措置の適用を受ける場合、改正前は教育訓練費の明細を記載した書類の確定申告書への添付が必要でしたが、改正後は保存義務へと変更になりました。
今回の改正は、令和4年4月1日から令和6年3月31日までの間に開始する事業年度について適用されます。